命日が近づくと、「何かしなければ」と思う一方で、何をすればよいのか決められないことがあります。お墓へ行くべきか、家族で集まるべきか、好きだったものを用意するべきか。考えるほど、その日が大きな予定のように感じられるかもしれません。
けれど、命日の過ごし方は一つに決められるものではありません。その年の暮らしや家族の都合、自分の気持ちに合わせて、小さく選ぶことができます。
先に「どのくらいの時間なら持てそうか」を考える
やることから考えると、候補が増えて迷いやすくなります。まずは、その日にどのくらいの時間を持てそうかを考えてみます。
数分なら、写真に目を向けて名前を呼ぶ。三十分ほどなら、好きだった音楽を聴く。一日ゆっくりできるなら、思い出の場所へ出かける。時間の枠が決まると、その中でできることを選びやすくなります。
当日が忙しい時は、前後の休日にずらす方法もあります。日付を大切にする気持ちと、無理のない暮らしは両立できます。
家で静かに過ごす
外出せず、自宅でできることもあります。
- 写真を一枚見る
- 花を一輪飾る
- 好きだった食べ物を家族で味わう
- 手紙や短いメモを書く
- 名前を出して思い出を一つ話す
全部を行う必要はありません。一つ選ぶだけでも、その日は普段とは少し違う時間になります。
食べ物を用意する時も、見た目を整えることより、家族が無理なく食べられる量にするほうが続けやすいでしょう。写真を見るのがつらい時は、無理にアルバムを開かず、心の中で思い出すだけでもかまいません。
外へ出て過ごす
お墓参りや納骨先へのお参りのほか、よく歩いた道、好きだった景色、家族で訪れた場所へ行く選択もあります。
遠方で足を運べない場合は、その場所の写真を見る、地図を開く、近所を少し歩くなど、暮らしに合う形へ小さく変えられます。出かけること自体が負担になりそうなら、自宅で休むことを選んでもよいのです。
誰かと過ごすか、ひとりで過ごすか
家族や親しい人と話したい年もあれば、ひとりで静かにいたい年もあります。集まる場合は、長い会食を設けず、お茶の時間だけ共有する形もあります。
誘う時は、「何かしよう」より、「写真を見ながら少し話さない?」のように、内容と時間を小さく伝えると参加する側も選びやすくなります。都合が合わない家族には、写真や思い出を一つメッセージで送り合う方法もあります。
ひとりで過ごしたい気持ちがあるなら、それも伝えてよいでしょう。「今年は静かに過ごしたい。また別の日に話せたらうれしい」と言葉にすれば、相手を遠ざけずに希望を伝えられます。
特別なことをしない選択もある
命日を意識すると、普段どおりに過ごすことにためらいを覚える場合があります。けれど、仕事へ行く、家事をする、いつもの食事をとるという一日も、大切な家族と過ごしてきた暮らしの続きです。
何もしないと決めても、ふとした瞬間に思い出すかもしれません。思い出さない時間が長くても、それまでの関係が変わるわけではありません。その日をどう過ごせたかで、想いを量らなくてもよいのだと思います。
迷った時の三つの問い
決めきれない時は、次の三つを自分に問いかけてみます。
- 今年は、静かに過ごしたいか、誰かと話したいか
- 家の中と外出のどちらが負担になりにくいか
- 数分、三十分、半日のうち、どのくらいなら持てそうか
答えが出たものだけで、その年の過ごし方を組み立てられます。途中で気が変わったら、予定を小さくしたり、やめたりしてもかまいません。
今年は花を飾り、来年は外へ出る。ある年は何もせず、別の年は家族で話す。命日の形は、暮らしとともに変わっていきます。迷っている時は、立派な一日をつくろうとせず、「これならできそう」と思えることを一つだけ選ぶところから始められます。


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