カレンダーの同じ日付が近づくと、いつもより少し落ち着かなくなる。予定を入れてよいのか、何か用意したほうがよいのか、それとも普段どおりに過ごしてよいのか。ペットを見送ったあとの月命日に、そんな迷いが生まれることがあります。
毎月めぐってくる日だからこそ、きちんと続けようとすると負担になることもあります。月命日は、決まった形を守る日ではなく、その月の自分にできる範囲で、大切な家族を思い出す小さな区切りとして考えてもよいのではないでしょうか。
月命日を「予定」ではなく「合図」にする
月命日は、見送った日と同じ日が毎月めぐってくるものです。ただ、その日に必ず特別なことをしなければならない、と考える必要はありません。
写真に目を向ける。名前を呼ぶ。散歩道を思い出す。カレンダーの日付が、ほんの少し立ち止まる合図になるだけでも、その子を想う時間になります。
忙しくて帰宅が遅い月もあれば、静かに過ごせる月もあります。体調や気持ちに合わせて、過ごし方が変わるのは自然なことです。「先月と同じにできなかった」と比べず、その月に無理のない形を選べます。
小さくできる過ごし方
写真を一枚だけ選ぶ
たくさんの写真を見返すのが重く感じる日は、一枚だけ選んでみます。季節が近い写真、表情が好きな写真、何でもない日常の写真でもかまいません。
スマートフォンの画面で眺めるだけでも、写真立ての一枚を替えてもよいでしょう。選んだ理由を短くメモしておくと、月ごとの思い出が少しずつ残ります。
好きだったものを思い出す
好きだったおやつの名前を口にする、お気に入りのおもちゃを手に取る、よく歩いた道を少しだけ歩く。実際に何かを供えなくても、「あの子はこれが好きだった」と思い出す時間を持てます。
食べ物を置く場合は、同居する動物や小さなお子さまの手が届かないかも確認しておくと、暮らしの中で続けやすくなります。
一言だけ話しかける
長い言葉を用意しなくても、「今月も来たね」「今日はこんな日だったよ」と一言だけでも十分です。声に出しにくい時は、心の中で伝えたり、ノートに一行書いたりする方法もあります。
何もしない月をつくる
日付を意識するとつらさが強くなる時は、あえて何もしない選択もあります。忘れたわけでも、大切にしていないわけでもありません。普段どおりに一日を終えることも、その月の自分に合った過ごし方です。
家族と過ごし方が違うとき
同じ家族でも、月命日への向き合い方はそれぞれです。毎月声をかけたい人もいれば、誕生日や年に一度の命日だけを大切にしたい人もいます。
全員で同じことを続けようとせず、「参加できる人だけ」「思い出した時だけ」としておくと、それぞれの気持ちを守りやすくなります。共有したい場合も、「今夜、写真を一枚見るけれど、一緒にどう?」と、断ってもよい誘い方にすると穏やかです。
毎月の形は変えてよい
最初の数か月は花を用意し、その後は写真を見るだけになるかもしれません。しばらく何もしない時期を経て、また名前を呼びたくなることもあります。
続ける回数や内容で、想いの深さが決まるわけではありません。月命日を忘れた月があっても、別の日にふと思い出す時間はあります。大切なのは、日付に自分を合わせ続けることではなく、暮らしの中でその子との時間を無理なく受け取れることです。
毎月同じ日が来た時、できそうなことを一つだけ選ぶ。選ばない月があってもよい。月命日は、守るべき予定というより、「今月はどう過ごそうか」と自分の気持ちをそっと確かめる日であってもよいのだと思います。


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